飲酒履歴その2

ー飲酒履歴その2-

 

前回の記事では飲酒開始から社会人生活前半までの飲酒行動をご紹介した。

本稿では、社会人生活中盤から直近までのロックな飲み方をお話ししたい。

年齢で言うと、28歳~40歳手前までの経験となる。

 

■社会人中盤戦

20代も後半になると、ある程度仕事の進め方がわかるようになり、ストレス度合いは比較的穏やかなものとなった。そのため自暴自棄になってヤケ酒を繰り返すというフェーズからは脱却し、気分的・時間的な余裕をもって酒を飲むようになった。

 

また給与も徐々に増え、金の使い方もやや派手になり始めた頃であった。もちろん居酒屋通いはするものの、小洒落た店(当時は創作料理屋が流行っていた)で美味しい食事をしながら、酒を楽しむということもしていた。

 

飲み屋に日参していた20代前半と比べると、外で飲む機会はかなり減った。しかしながら、週に3日はどこかの店に馳せ参じては、ビール・焼酎・ワインをあおることは続けていた。このようにして書くとノルマのように聞こえるかもしれないが、その通りでノルマ化していたのは事実である。

 

当時は年齢の割には背伸びをした店に通っていたように思う。

早い段階から良い店に通って、美味しい食事や珍しい酒に触れることが、自分のつまらないプライドを心地よくくすぐっていたのである。

ただ正直なところを申せば、大量飲酒が前提であるため、いかに手を尽くした料理を提供されても、味の記憶が舌に残るのは、せいぜい2品目までであった。

メイン料理に差し掛かることには、すでに出来上がってしまっていて、友人とのくだらない会話の合間に、せっかくの料理をつまみの一つとして口の中に放り込んでいただけである。

料理についての感想などは、序盤戦のみ意識の中にあるだけで、杯を重ねるごとに脳は料理よりも酒を希求し続けていた。はっきり言って、良い店である必要などはなかった。

 

酒についても同じである。銘柄にこだわって珍しい酒を供されれば感想を述べていたが、翌日になると何を飲んだかなど記憶にない。要するに酔えればよいのだから、ワンカップで十分だったはずである。その傾向はずっと続くのであるが、、、

 

健康面では、このような飲み方をしているにも関わらず、ラッキーなことに何一つ問題が生じなかった。継続的にヨガとランニングを行っていたことが奏功していたのかもしれない。

とはいえ、健康診断前の1週間は禁酒をしていたので、日常習慣のままであれば何らかの数値異常が認められたのかもしれない。

ただ、無茶な飲み方をしていても1週間で元通りになるという安心感はあった。

 

 

■直近まで

そんなこんなで30代半ばまで上記のような飲み方をしていた。

 

ただ、35歳を迎えた瞬間に酒に対する体の反応が著しく変化した。

5歳毎に酒への耐性が落ちるという噂があるが、これはまさにその通りであり、20歳の頃と比較すると年々体調の変化はあった。だが、35歳の変化は自分の中で極めて大きかった。

 

まず、痛飲をした翌日は脳がマヒしていて、まともに仕事にならない。酒も翌日の昼頃まで抜けず、昼食後に酒臭い自分をやっと感じるようになる始末であった。朝一の会議では「あー、えー、うー」しか発言できず、上司に叱責をくらったこともある。(笑)

 

とはいえ、飲んでいる最中に辛くなるかというとそんなことはなく、昔と変わらず全力で飲み続けていた。酒の抜けが悪くなったとう事実はあるものの、1回の飲酒量が落ちることはなかったし、むしろ昔日の摂取可能量まで飲むことを脳が指令しているようであった。

この時期から、自分自身が酒をコントロールできない人間であることを自覚しだした。

一旦飲酒を開始すれば、適量を守ることはできず、とことんまで飲む。これが偽りのない自分であり、あえて否定はしないが立派な「アル中」なのである。

 

さて飲み方に話を戻すと、体調の変化を感じ取るようになってからは、飲みの回数には気を遣うようになった。しかしながら、加齢とともに昇進・昇給で手元に残る金はどんどん増え、使える自由な金が増えることで、お姉さんがいる店へのはしご酒の機会が多くなったのもこの頃である。

1件目に小料理屋・居酒屋、2件目にバー、3件目にお姉さんのいる店という散財エリートコースを頻繁に歩んだ。

飲みだせば終電まで頑張ることが美徳であった。これは一人であろうが、誰かと一緒であろうが同じで、とことん飲んで「酒の強いやつ」という評価が一つのアイデンティティであった。

滅茶苦茶な発想であるが、当時は何となくそれが楽しかった。

 

ただ、そんな祭りも度を超すと徐々に虚しさを惹き起こした。そんなこんなで、今に至る。

 

あと一応健康面にも触れておくと、やはり齢40になると肝機能には少し影響が出ることもあった。ただ、医者から強い忠告を受けるような数値ではなく、基準値を少し上回る程度であった。

また、肉体においても腹が出ることはなく、適度な筋肉量をキープできている。これは30半ばから週3~4回のジム通いをしているおかげであろう。奔放な飲酒生活をしているものの、ある程度健康でいることができたのはやはり運動習慣の賜物であった。

 

 

■飲酒歴のまとめ

ホンモノの酒豪の方には及ばないものの、我ながら狂気じみた20年を過ごしてきたものだと思う。

顧みると、フルコースで飲んだ場合の一回の平均飲酒量は、ビール中ジョッキ6~7杯、焼酎お湯割り3~4杯、スコッチをロックで2杯~3杯。店にもよるが、散財は2~3万円くらい也。こんなことを月に数回繰り返していると体も財布ももたない。

結構な時間と金を酒に費やしてきた。だが、別に後悔の念はない。

酒での失敗はもちろんあるが、ガブ飲みしていた頃はそれで楽しかったし、それなりの経験もできた。

 

ただ、やはり客観視すれば「酒に呑まれていた」のは間違いないし、脳は常に酒を欲していたに違いない。

 

Moriss