―1週間の酒断ち―

酒を控えるという宣言のもと、9日間一滴も酒を飲まない日々を送っていた。

忙しく仕事や趣味をこなしているうちは不思議と飲酒欲求もまぎれていた。

 

が、連休に入って時間的な余裕ができると、無性に誰かと時間を過ごしたくなり、飲み屋を訪問してしまった。そもそも禁酒期間を設けたり、断酒をするつもりもないので、後悔や自己嫌悪に陥るようなことはない。しかしながら、ある程度の期間酒を抜いていると、飲酒よる体調・思考へのネガティブな影響は顕著であることが分かった。

 

せっかくの機会なので、わずか9日間ではあるが酒を抜いていた間の体調・思考と、飲酒翌日の体調・思考の違いを話してみたい。(少し長くなるので、2,3の記事に分割してお話しする)

 

 

■9日間の酒抜き

【体調面】

1.目に見える肉体への影響

・顔つき

酒を飲まないことによる好影響として顕著だったのは、顔つきが変わるということである。

継続的に飲酒を行っていると、顔のむくみがなかなか取れない。ビールやサワー、焼酎などの形で過剰に水分を摂取しているのであるから、顔が腫れぼったくなるのは当然である。

さらに肝臓や腎臓に負担をかけ続けることで、内臓的にもむくみを誘発しているのであろう。

だが、3日酒を抜くだけでむくみは劇的に改善した。ここ最近、むくみのせいで瞼は肥厚し一重になっていたが、元来の中二重にスッキリと戻った。

また、頬についていた脂肪も幾分落ちたような気がする。残念ながら首元の脂肪は9日間では大きく変化しなかった。

 

・肌の質感

肌ざわりも結構変わったように思う。継続飲酒をしていると肌のザラつきがひどかったが、酒を抜くと肌がしっとりとしたように感じる。何というか、すべりが良くなったという表現が適切かもしれない。

さらに、加齢とともに二の腕の後ろにブツブツが増えてきて困っていたが、これも目立たなくなった。

たまたま肌のターンオーバーの時期と重なっただけかもしれないが、ここは肯定的に受け取っておくことにしよう。

 

・腹周りの脂肪

これはありがたい変化であった。筆者は週3~4回は筋トレを行っており、そこそこ引き締まった体つきをしている。だが、腹周りの浮き輪だけは、どれほどハードなトレーニングで追い込んでも落としきることができずにいた。

飲みに行けばカロリーの高いアルコールを摂取し、好相性のフライものをバクバク食べるのであるから、裏切ることなく脂肪はきっちりと付いてくれる。たとえ脂肪が付いても、筋トレをして除去すればよいという理屈でトレーニングに励むが、腹の浮き輪だけはネッチリと居座ってくれていた。

別にフィジーク選手のようにバッキバキな体つきを目指しているわけではなく、ある程度の浮き輪はどうしようもないものとして諦めていた。だが、酒を抜くだけで9日間の間に徐々に脂肪が消えつつあった。

結局のところ、浮き輪が取れない理由は、単純なカロリー過剰摂取に拠るものであったのだろう。

 

 

2.内臓、内部機構への影響

代謝(特に排泄)

尾籠な話ではあるが、排泄に関しては良い面も悪い面もあった。

 

まず良い面としては、尿の色が薄くなり、適切な回数の排出を行うことができるようになった。

飲酒に伴い体は脱水状態となる。脱水状態を回避するために水やスポーツドリンクを適宜飲むべきであるが、酔っぱらいは相当量の水分をアルコールという形で体内に取り込んでおり、飲酒後に正しい水分の追撃はかなり辛い。

アルコールを希釈することなく就寝すれば、体は脱水症状でカラカラになる。半ば気を失っている状態で眠りにつき、一度も起きることなく朝を迎える。飲み屋で一体何リットルの水分を摂ったのかわからないほど飲んだとしても、夜中にトイレに起きることがない。それどころか、起床後にも強い尿意は感じないのである。全く恐ろしい話であるが、当然翌朝一回目の尿は、濃い黄色。不健康極まりない。

朝になれば喉と胃を潤すために大量の水分補給を行うが、一度に多量の水分が体に入るため、トイレ訪問の間隔はごく短くなる。その反動なのか、その後はあまり水を飲まなくなり、結果的に不規則な尿の排出となる。

 

一方で、酒抜き期間中は極端な喉の渇きに見舞われることがなく、一日中適度な水分量を適当なタイミングでとることができる。結果的に尿の質も改善し、排出も適切な回数になった。

あと不思議であったのは、酒を飲まない期間はやたらと水が美味く感じた。特にこだわりのある水を飲んでいるわけでもなく、スーパーで2リットル100円くらいで売っている普通のペットボトルの水である。これは理由がよくわからない。

 

次に悪い面。

排便に関しては、ビール(その他アルコール)に頼っていた面が強かったようである。

ビールを飲んだ翌日はきっちりと排泄を行うことができていたが、酒を抜いた翌日からは便秘になった。(もっとも飲酒後の排便の質が良いかというとそんなことはなく、ただ、出すことができていたとうレベルである)

全く便意をもよおさないわけではなかったが、トイレに行ってもスッキリせず、5日間くらいは腸が重苦しい状態であった。乳製品を多めにとって無理やり排便を促したが、一旦スッキリしても翌日からは振り出しに戻るというという有様であった。

ちなみに、過去に1か月間禁酒をした際は便秘がなかったように記憶している。

このあたりは日常の生活リズムの変化でセンシティブに反応する部分なのかもしれない。ここ1~2年は生活環境やリズムに大きな変化があったため、そういった面も影響しているのであろう。無理やり酒で神経バランスを安定させていただけかもしれない。

酒が体内に入っていない状態に体が慣れれば、快方に向かうことを期待する。

 

 

・日常の不快感

酒を飲む習慣があるうちは、胃腸の調子がすこぶる良くない。特に胃については慢性的に胃もたれを起こしており、消化の爽快感がない。重苦しい口臭を吐き出し、朝食や昼食へのありがたみが消え失せる。アルコールと不規則な食生活で胃が弱っているのだから当然である。

過酷な労働を強いている胃に対し、贖罪のつもりで1~3日間のプチ断食を時々実施することがある。アルコール・食物が胃の中から取り除かれ、消化活動が抑制されている状態は極めて爽快である。断食などは体を弱める行為であると認識されがちであるが、むしろ活動意欲や脳の働きは、食事を抜いている間のほうが高次でさえある。

今回の酒抜きにより、胃の調子も相当程度回復するものと期待をしていた。だが、実際そうはならなかった。確かにアルコールが胃に入らないため、寝起きの空腹感もきっちりと感じることができた。そのおかげで朝食をとることは楽しくなった。ただ、消化の爽快感を得るには至らなかった。やはり長期間にわたりハードリカー等で傷ついた胃を完全回復するには、1週間ちょっとではまだまだ期間が短いのであろう。

 

腸については代謝の項でも記述したが、便秘を患うこととなった。これまでの悪習慣により記憶された腸の働き方は、禁酒を継続することで正しい方向に向かうのかもしれない。ただ、短期的には今一つ酒を抜くことの恩恵を得ることはできなかった。

 

最後に頭(=脳)への影響であるが、2~3日酒を抜くと明らかに頭の中がクリアになった。

酒を飲んだ翌日は頭の中が鈍重になる。脳の働きが地に落ちるとともに、軽い頭痛が煩わしさを与え続けるが、この鬱陶しい感覚からは、酒を抜くことで比較的すぐに解放されることが分かった。

アルコールによる脳の麻痺状態はなくなり、また睡眠の質も格段に向上する。脳がしかるべき働き方を取り戻すのであるが、要するに酒に溺れている間は、脳が酒に拘束されていると表現できる。

 

 

さて、体調面はここらで切り上げることにし、別の機会に思考面での変化も書き綴りたい。

Moriss